京都市左京区で昨年1月、京都精華大学マンガ学部1回生の千葉大作さん=当時(20)、仙台市出身=が殺害された事件は、未解決のまま15日で1年を迎える。大作さんの母親、淳子さん(48)は13日、地元住民の集会に出席。「今でも信じられず、長い長い夢を見ているようです」と涙ながらに訴えた。現場は今も、夢を奪われた無念の死を思う友人らの供花が絶えない。
淳子さんはこの日、仙台市から大作さんの祖父、遠藤綺一郎さん(82)らと京都を訪れ、現場近くの小学校体育館で開かれた地元住民の集会で悲痛な思いを切々と語った。
「大作はとても優しい子で、話しているととても癒されました」「一生懸命生きてきた大作を残虐な方法で手にかけた犯人は、過ちに気づいて目を覚ましてほしい」
淳子さんらはその後、雪がちらつく現場に足を運び、花を手向けた。
親友らも同じように喪失感を引きずっている。
「なぜ彼のような優しくて穏やかな人が殺されなければならなかったのか、という気持ちはずっと消えない」と同学部マンガプロデュース学科に通う男子学生(21)。高校生時代に知り合い、支え合って受験を乗り切った仲だった。
「今でも、漫画制作で悩むと、とっさに彼に聞こうと思う。そして、もういないんだと思いだすんです」
事件直後はキャンパスは重苦しい雰囲気に包まれた。大作さんの死を口にすることを避けた時期もあったが、ようやく平常に戻りつつあると感じている。「今は『事件を考える時間があったら漫画を描けよ。おれに遠慮しないで描けよ』と言ってくれているように思うんです」と話した。
千葉さんは漫画家になる夢をかなえるため、新聞配達で生活費を稼ぎながら京都で受験勉強。念願の同学部に入学後は熱心に漫画制作に取り組んでいた。京都市内の下宿では、机の横に「なれるさ! そうなりたいと強く願うなら」と千葉さんが書いた大きな張り紙があったという。